組織という場所に身を置いていると、どうしても周囲の評価や人間関係の波に心が揺さぶられてしまう瞬間があります。
ですが、周囲を自分の思い通りに変えることはできません。私たちが職場で本当の心の静けさを手に入れるための唯一の方法は、外側の環境を変えようと抗うのをやめ、ただ「自分の中心」を静かに保つことです。
誰とも競わず、誰とも比べない。周囲の状況を「そういうものだ」と丸ごと受け入れ、自分のやるべきことに集中する。この心の置き方を覚えると、どんな組織構造の中にいても、他人に振り回されない強さと軽やかさが身につきます。
全体最適の歪みの中であぶり出された、私の「他人軸」
実を言うと、私自身もある年齢までは、他人の評価や承認欲求といったものを全く気にすることなく働いていました。
変化が訪れたのは、40代を迎えた頃。組織の中での役割を離れなければならなくなった時期です。いわゆる「ミドルエイジクライシス」の波が、私の身にも容赦なく降りかかってきました。
組織には、本当にさまざまな人間がいます。そこには数え切れないほどの「縁」が複雑に絡み合っている場所です。そのため、自分の部署の内外に関わらず、ときには個人の思いを置き去りにした「全体最適」の決断が下されることもあります。
そこに歪み(ひずみ)が生じるのは仕方のないことだと、頭では分かっていました。けれど、どうしても心が割り切れない。
葛藤の中で、私はハッとさせられました。割り切れない思いの正体は、自分が思っている以上に「他人軸」で生きており、認められたいという承認欲求や、過去の役割への執着にまみれていた事実そのものだったのです。環境の変化によって、自分の心の内側が、残酷なまでに「あぶり出された」瞬間でした。
しかし、この痛みこそが転機となりました。「認められたい」という執着を一度きれいに手放し、周囲と戦うのをやめたとき、あんなに揺れ動いていた自分の心が、驚くほど静かなものに変わりました。他人の目を気にするエネルギーが消え去り、自分の足元にある仕事だけに、100%の意識を向けられるようになりました。
誰とも比べない環境を自分の心の中に作ったとき、これまで味わったことのないような深い安心感と、仕事への純粋な没頭感が戻ってきました。
結果は「縁」に任せて、今日もただ手を動かす
私たちがコントロールできるのは、周囲の環境や組織の決定ではなく、「今、ここで自分がどうあるか」だけです。
他人の評価という実体のない波に一喜一憂するのをやめ、まずは目の前にある仕事、そして目の前にいる人に対して、誠実に、温かく接してみる。ただそれだけで、組織の冷たい構造の中にいても、あなたの周りには自然と穏やかな空気が流れ始めます。
もし今、職場の人間関係や評価に息苦しさを感じているなら、一度「戦うこと」をやめてみてください。
波に逆らわず、ただ自分の中心を静かに保ち、目の前のことを丁寧に重ねていく。その静かな強さこそが、結果として誰にも揺るがされない、あなただけの本当の信頼を築いていくはずです。


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